贈られた花束が長持ちするとうれしいですよね。水を頻繁に変えても数日すれば枯れてしまったり、花びらが落ちたり、ときにはこれから花開くのを楽しみにしていた「つぼみ」が開くことなく枯れてしまった……そんな悲しい経験がありますよね。

お客さまからも「長持ちさせる方法」をよく聞かれますので、記事にまとめました。ご参考にしていただくとうれしいです。

目次

帰ってまずすること

切り花を長持ちさせるために、ご自宅に着いたらまず行っていただきたいことがあります。手順を追って説明しますね。慣れれば10分もあればできる簡単なことです。

1.水切りをする

 水切りとは水に浸した状態で茎を切ることです。1cmくらい切ります。剪定ばさみがあればいいのですが、ない場合はキッチンばさみでもOKです。

 まずラッピングを外します。当店の場合は茎先に水分を含んだコットンシートを巻いています。これを外していただき、バケツや洗面器に水を入れて茎を水切りをしてください。

 切り方は輪切りではなく、少し斜めにカットしましょう。斜めにカットするのは正円よりも面積を多くするためです。カットした場所から水分を吸い上げていきますので、面積を大きくして水分を吸いやすくしてあげます。

2.水に浸かる枝葉を剪定する

 水切りが終わったら飾る予定の花器を取り出しましょう。水切りが終わった花を手で束ねて花器に入れずに、花器の横で完成イメージを膨らませます。水を大体どのくらい入れるか確認してください(花器の1/3程度水を入れるのが一般的です)

 このときに水に浸かってしまいそうな枝葉を剪定していきます。実際に花器に生けて水を入れると水位が多少上がりますので、想定よりも2、3cmくらい高い場所まで剪定すると安心です。

3.花器に生ける

 剪定が終わったら花器に生けていきます。切り花は元気なうちは水分をたくさん吸い上げますので、朝と夜に水位を確認しましょう。

4.風通しのいい日陰に飾る

 花器に生けたら直射日光が当たるような温度が高い場所を避けて飾りましょう。ダイニングテーブルや玄関などがおすすめです。

 温度が高いと植物は「蒸散」を活発に行います。蒸散とは茎から吸い上げた水分を、葉や花などから水蒸気として放出することです。この活動が活発になると植物は疲れてしまい、花器で楽しむ時間が少なくなってしまいます。

 温度のほかに注意したいのがです。エアコンなどの風に当たる場所は風により水分が蒸発してしまいます。植物にとって水分が少なくなるのは致命傷です。なるべく風が当たらない場所を選ぶようにしましょう。

日々行うこと

 切り花を長持ちされるために、毎日水替えを行うことが大切です。水替えの際に水に浸かっている茎先を少しづつカットするのも切り花が長持ちする秘訣です。だいたい1cmくらいカットしてあげてください。

 切り花を長持ちさせる秘訣は新鮮な水をしっかりと吸水してもらうことです。茎先は水に浸かっていますので多少傷んでいます。傷んでいると雑菌が繁殖して吸水がうまく行かなくなることがあります。たとえば、ストローに大きなタピオカが詰まっている状態を想像してみてください。詰まっていて水を吸い上げられなくなると切り花は枯れていってしまうので、ストローの先をカットして水を吸い上げられるようにしてあげるというイメージです。

切花延命剤いつ使う?

 当店では切花には「切花延命剤」を1パックつけています。この切花延命剤は元気がなくなったら使うと思われることがあるのですが、最初から使うようにしてください。最初から使うと楽しめる時間が伸びていきます。

裏面に使い方が記載されています。

 使い方は裏面に書かれていますが、500mlの新鮮な水に一袋を入れて出来上がりです。図るのが面倒なのでペットボトルに水をいれて切花延命剤を一袋入れると便利です。

 花器にお花をいけて、お水がなくなってきたら切花延命剤を継ぎ足していくというように使っていくのがおすすめです。

 当店ではボトルタイプの切花延命剤も販売中です。切り花をよくお買い上げになるお客さまは1本お持ちになると便利です。

左が100mlで291円、右が200mlで500円です。

これって本当?昔からいわれるテクニック

 10円玉を入れる、砂糖や酢、漂白剤を入れるなどいろいろな方法がありますが、正直なところ、効果はあるかないかと言ったらあるかもしれない、というところです。酢や漂白剤など水に入っている雑菌類を減らす効果を期待して入れるものについては分量を間違えて多量に入れてしまうと植物自体を痛めつけることにもなりませんので、危険で本末転倒になりかねません。

 それであれは先ほど紹介した切花延命剤を使うのがベストです。水質改善に効果があるほか、切花の寿命が長くなります。そして、花屋で購入できます。使い方についてスタッフに聞いていただければ丁寧に教えますので使いやすくて安心です。

弱ってしまったときはどうする

 結論から申し上げますと「諦める」が正しいと思います。切花延命剤を使って、水替えを毎日行い、水切りを行っていれば正直なところほとんどできることはありません。

 たしかに、特殊な方法で水切りを行う植物もありますが、手間が非常にかかる上に、劇的な変化は期待できません。それであれば、十分楽しませてもらったとして処分をして次の植物をお部屋に飾るのがおすすめです。植物は生き物ですし、雑に扱うのは嫌ですが、なるべく長く楽しむために手間をかけすぎるのも考え物。ありがとうという感謝の気持ちをもって、処分させてもらい、お店で季節の花をお買い上げいただき、お部屋に季節の風を気軽に取り込みましょう。

さよならはいつ?

1.茎の表面がヌルヌルして柔らかくなっている

 水替えを怠ったときや、極端に温度が上がった場合に起こりますが、花器内にバクテリアが繁殖して、植物を傷めてしまった状態です。茎の表面を洗い流して、花器の水を変えて(汚れが付いているときにはしっかりと洗い流していったん乾燥させてから使ってください)、生けなおしても切り花が元気にならない場合は残念ですが諦めてください。

2.花びらが乾燥したら

 意外と気が付かないのがこれです。花は開いていて、下を向いているわけでもないのですが、触ってみて「カサカサ」とドライフラワーのようになっていることがあります。これは吸水がうまくいかずに枯れてしまっているのです。

3.花が下を向いてしまったら

 これは咲き終わりのサインです。ひまわりなど大きな花は深水法で元気を取り戻すこともありますが、ほとんどの花は咲き終わりです。

どのくらい楽しめるもの?

2週間ほど(小さな花が多い)

  • キク類
  • カーネーション
  • チューリップ
  • トルコキキョウ

1週間ほど(大きな花が多い)

  • ひまわり
  • バラ
  • ガーベラ
  • ダリア

※水上げ、水切り、水替えをしっかりしても上記より短い場合もあります。

ドライフラワーにするには?

 大前提としてドライフラワーは生花の状態で作り始めないと美しいドライフラワーにはならないと覚えておいてください。

 切り花を買ってきて1,2日楽しんだあとは傷んでいる葉や花びらを取り除き、花束のようにまとめて吊るしましょう。植物の状態や種類にもよりますが、大体5~7日間でドライフラワーの完成です。

 乾燥剤を使って急速に乾燥させると花の色合いがきれいに保存されるので素敵なのですが、ドライフラワーにした後も湿気に注意しなくてはならないなど、扱いが大変です。まずは花器で少し楽しんだあとに、乾燥剤を使わずに乾燥させて気軽に楽しんでみませんか?

 ドライフラワーを作るなら空気が乾燥している冬がおすすめです。梅雨は湿気が凄いので、梅雨明けごろからドライフラワーづくりに適しています。ドライにしてみると柔らかい風合いになる花も多いです。時間が生み出すしっとりした切り花の楽しみも味わってくださいね。

以上が切り花を長く楽しむ方法でした。ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。


深水法
バラやひまわりなど茎がしっかりとした花を元気にする吸水法。茎先を少し出した状態で新聞紙などで茎をしっかりと巻いていきます。巻き終わったら花を立てて、新鮮な水で満たしたバケツなどに立てて吸水させていきます。吸水時間は状況を見て1時間~一晩程度です。